営業部門が存在する企業では、何かしらの手段を用いて営業管理(※)を行っています。
※営業パーソンが抱える案件の管理や、担当顧客の管理、営業パーソンの日々の活動の管理のこと。
そして、営業管理の手段はExcelとシステム(SFA)、たいていの会社がこのいずれで実施しています。
Excelで営業管理している企業の方からよくいただくご質問が
ExcelとSFA、どっちがいいの!?
という内容です。
今回はそのような疑問をお持ちの方に向けてExcelで管理を継続すべきか、それともシステムなどITを活用すべきかの判断材料をお届けできればと思っています。
(システムメーカーとしてExcelだとこれらの使い勝手が悪い!今すぐSFAに変えなさい!というポジショントークはしません)
Excelで営業管理するメリットとデメリット
Excelで営業管理や顧客管理を行うことのメリットを挙げていきます。
- コストをかけずに行うことができる
- 営業の動きや必要な情報に応じて手軽にフォーマットを変更することができる
- Excelはビジネスパーソン誰にとっても身近なためアレルギーが少ない
主なメリットはこれらかなと思います。
こう見てみると良いこと尽くめで、マイナスがないですよね。
何も営業管理していないことと比べたら、Excelでの営業管理にマイナスはありません。
営業管理の目的は大なり小なりの違いはあるかもしれませんが、営業成果の最大化です。
その観点から考えるとExcelによる営業管理は多大なメリットを、ほぼノーコストで享受することができるのです。
とはいえ営業支援システムなどシステムと比較するとデメリットがあることは事実です。
続いてはそのデメリットを挙げていきます。
- 同一ファイルの場合、更新タイミングが難しい
- ファイルがバラバラの場合は統合する手間が生じる
- 関数が組まれていると入力の仕方次第で関数が崩れる(壊れる)
- 関数を入れたフォーマットだと修正が大変である
- 外出先からの情報入力や更新が困難である
- 情報の2重入力や更新が必要になる
- データ間を照合することが面倒である
- データをまたいでグラフや表に出力することが面倒である
このように
データという情報の
共有のスピードや利便性、データ活用の利便性、そして(メリットと相反しますが)可変性においてシステムと比べると不自由さがあります。
そして、何よりもこの3つのポイントから考慮すると、Excelでの情報共有は「報告」が主体となっています。
情報を使って、新規開拓を効率化したり、顧客満足を高めるための質の高い営業活動に繋げるというよりは営業パーソンがしっかりと営業活動を行っているのかどうかを監視する要素の方が多く、上司のための仕事になっていて=営業担当者にとってのメリットが極めて少ないことが何よりのデメリットと言えます。
SFAで営業管理するメリットとデメリット
続いてはSFA(営業支援システム)で情報共有を行うメリット、デメリットを挙げていきます。
SFAのメリットは
- いつでもどこでも情報を入力・更新することができる
- 1つの情報入力で多岐にわたる参照が可能である
- 立場に応じたデータの活用が望める
という点です。
たいていのSFAはインターネットでアクセスするシステム、いわゆるクラウドサービスなのでネット環境さえあれば場所や時間を選ばず入力することができます。
そしてシステムの便利な点が情報の横連携です。
1つの情報が色々と紐づいていきます。
たとえば弊社のEcreaというSFAを例に今日、こんな商談を行ったと入力します。
この情報が顧客情報に紐づいたり、日報になっていったり、はたまたKPI集計表にまとまっていくなど入力された情報を再活用するための多岐にわたったデータ出力がSFAならば可能です。
よって
営業担当者ならば履歴を見ながら過去の取引先に再アプローチしたり、
マネージャーならば目標達成のための営業活動量を押し上げるための分析を行ったり、など
立場に応じたデータ活用を行うことができるのです。
一方でSFAにも当然のことながらデメリットがあります。
- 導入するには費用がかかる
- 見慣れない画面のため人によっては抵抗がある
- ネット環境が無いと入力、参照することが出来ない
という点です。
Excelと何より異なる点は費用面です。
SFAを運用するとなると毎月のコストが発生します。
手軽さでいうとExcelに軍配が上がると言えます。
ExcelとSFAの比較
ここまで述べてきたExcelとSFAのメリットデメリットを一覧にまとめるとこんな感じです。
SFAの方がやはり「◯」が多いのは有償のソフトである分、当然のことかなと私は思います。
ポイントは入力されたデータの活用部分です。
SFAがExcelと比べて優れているのは情報を多彩にアウトプットできる点です。
Excelが形だけの運用、つまり形骸化してしまうのはアウトプットが難しく、それゆえマネージャーや営業担当者がデータ活用のメリットを享受できないからと言えます。
営業担当者が抱える顧客や案件に関わる情報を資産として活用していくことを考えた場合には、やはりSFAに分があります。
こちらの比較表は弊社にお問い合わせいただけましたらお送りいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
SFAが向いている会社・向いていない会社
では最後にSFAが向いている会社、向いていない会社というテーマを考えます。
比較表を見ると、全ての企業がSFAを導入するべきだと思えますが、一概にそうとも言えません。
- 営業担当者がITツールの利用を苦手としている会社
- 営業活動内容を報告する文化が醸成されていない会社
- 営業のマネジメント方法や戦略分析の手立てが確立されていない会社
この3つのいずれかに当てはまる企業の場合はまずはExcelを使うなどして情報共有文化を醸成することから始めた方が良いケースがあります。
1つずつ解説していきます。
営業担当者がITツールを苦手としているケース
ITツールが苦手な社員が多い場合は、SFAを導入しても使いこなせないことがありえます。
10年前以前と比べて近年は少なくなってきましたが、それでもシステムに苦手意識を持っているビジネスパーソンはまだまだいらっしゃいます。
そしてシステムが苦手なだけならまだ軽傷で対処は簡単です。厄介なケースは2つ目の内容と重複してくるのですが、ExcelやSFAなど情報共有の手段は関係なく、情報を残すことを苦手というか、嫌悪しているケースです。
多くのパターンはITが苦手であり、なおかつ情報を残すことを面倒くさがっています。
マネージャーなど上司が情報を残さなくてもOKと容認してしまっていて、情報を残すことに労力を掛けることに営業担当者がアレルギー反応を示すようになってしまっているのです。
この場合はシステム関係なく営業に関わる情報を会社の資産として蓄積することの重要性を苦手社員に説いて、説いて、説き続けるしか方法はありません。
蓄積された情報は形質上、短期的に営業担当者の役に立つことはないので、情報を残すことを習慣化というか文化にして慣れさせるしかないのです。
私は日報論者ではありませんが、情報蓄積を習慣化させる際には日報が良いと考えます。
やはり毎日やらざるを得ないという強制力が営業担当者の習慣を作ります。
話が少し逸れましたが、ITが苦手な場合は慣れている環境、つまりExcelで情報共有を始めてみるのでOKでしょう。
情報共有や蓄積の文化がない場合は、SFAが根付かない恐れがあり、投資コストが無駄になる恐れがあります。
まずはExcelで文化を醸成することが優先と言えます。
営業マネジメントが確立されていないケース
そしてマネジメントや戦略分析の手法が確立されていないケースでは、まずは戦略を検証するためにどんなデータが必要なのかという議論を始めましょう。
議論の結果、Excelで情報を蓄積して十分ならばまずはExcelでスタートし、データが多岐にわたる場合はSFAを導入してしまった方が手っ取り早いと言えます。
ExcelもSFAも両方とも営業活動を改善するための手段に過ぎません。
SFAはシステムなので多彩なアウトプットが期待できますが、その分、費用が掛かってしまいます。
費用のせいで二の足を踏んで改善に着手できないのであれば、まずはExcelで情報蓄積文化やデータ分析を行うことからスタートすべきです。
エクレアラボではSFAとExcel、どちらが皆さんの会社に合っているかを診断することからサポートしております。お悩みの場合はどうぞお気軽にご相談ください。