「営業は〇〇さんがいないと回らない」
「この顧客のことは△△さんにしか分からない」
ルート営業を行っている企業の経営者であれば、一度はこんな状況に直面したことがあるのではないでしょうか。
多くの経営者は、心のどこかでこう感じています。
「本当は危ないと思っている。でも今は仕方ない・・・」
本記事では、なぜルート営業はここまで属人化しやすいのか、そしてなぜ“優秀な営業パーソン”ほど会社が依存してしまうのかを整理しながら、SFAに限らず、人・組織・マネジメントの観点からの本質的な対策を解説します。
なぜルート営業はここまで属人化しやすいのか
ルート営業は、もともと属人化しやすい営業スタイルです。
理由はシンプルで、人間関係が成果に直結しやすいからです。
成果を出している営業ほどブラックボックス化しやすい
ルート営業で成果を出している人ほど
- 顧客と長い関係がある
- 暗黙の了解を理解している
- 空気を読んで動ける
といった、言語化しづらい強みを持っています。
結果として営業は「感覚」や「経験」に依存し、
周囲からは「よく分からないけど、なぜか取ってくる人」になりがちです。
これがブラックボックス化の始まりです。
長年の取引・人間関係が属人化を加速させる
ルート営業では
- 昔からの付き合い
- 担当者同士の信頼関係
が大きな武器になります。
一方で、関係性が「個人と個人」に閉じてしまうと会社としての関係性が弱くなります。
会社対会社の関係ではなく
「A社 × 〇〇さん」という関係になった瞬間、属人化は一気に進みます。
属人化は「現場の問題」ではなく「経営構造の問題」
ここで重要なのは、
属人化は営業パーソンのせいではない、ということです。
多くの場合、属人化は
- 任せきりのマネジメント
- 仕組みを作らない経営判断
- 短期成果重視の評価制度
こうした経営側の設計によって生まれています。
経営者が見落としがちな「属人化が進んでいるサイン」
属人化は、ある日突然起こるものではありません。
気づかないうちに、少しずつ進行します。
「その顧客は〇〇さんにしか分からない」が常態化している
この言葉が当たり前になっている組織は
すでに属人化がかなり進んでいます。
- 顧客の状況
- 過去の経緯
- 今後の懸念点
これらが共有されていない状態は
経営者にとって非常にリスクの高い状態です。
営業会議が報告会で終わっている
営業会議で話されているのが
- 今月の数字
- 結果の報告
- 感想レベルの話
だけになっていないでしょうか。
プロセスや考え方が共有されない会議は
属人化を止めるどころか、むしろ強化してしまいます。
引き継ぎや異動のたびに売上が落ちる
担当変更のたびに売上が落ちる場合、
それは「人の問題」ではなく営業が個人に依存している証拠です。
経営者が顧客・案件の全体像を把握できていない
「正直、現場が何をしているか細かくは分からない」
もしそう感じているなら、それ自体が重要なサインです。
なぜ“優秀な営業パーソン”ほど会社は依存してしまうのか
属人化の最大のジレンマは
優秀な人ほど依存されるという点にあります。
結果が出ている人ほど管理されなくなる
成果が出ている営業には、
上司も経営者もこう思いがちです。
「任せておけば大丈夫だろう」
しかしこれは、
信頼ではなく放置になっているケースが少なくありません。
「任せているつもり」が実は放置になっている
任せることと、丸投げすることは違います。
- プロセスを見ない
- 情報共有を求めない
- 育成をしない
これらが重なると会社はその人に依存せざるを得なくなります。
つまり、なるべくして依存してしまっている=構造的放置による属人化といえます。
評価制度が属人化を助長しているケース
- 数字だけを評価
- 結果がすべて
- プロセスは見ない
この評価制度では
「自分のやり方を共有しないほうが得」
という心理が働きます。
属人化がもたらす経営リスクとは
退職・休職・異動が即リスクになる
一人の離脱で売上や顧客関係が揺らぐ組織は
健全とは言えません。
組織として営業力が蓄積されない
成功も失敗も個人の中で完結し
組織の力になりません。
再現性のない営業は、成長スピードを鈍らせる
人が増えても売上が伸びない原因は
再現できる仕組みがないからです。
属人化を止めるために必要な「人・組織」の改善ポイント
営業の役割とプロセスを言語化・共有する
- 何を目的に訪問するのか
- どんな情報を集めるのか
- どう提案するのか
「何を考え、どう動くのか」を言語化しない限り
属人化は止まりません。
上司・管理職が「結果」ではなく「プロセス」を見る
結果だけを見るマネジメントは
長期的には組織を弱くします。
成功・失敗を組織の知見として残す
経験を個人で終わらせず
組織の財産にすることが重要です。
「教える文化」がない限り属人化は解消しない
育成のない組織に
属人化しない営業は存在しません。
仕組みで支えることで「人に依存しない営業」は実現できる
情報を個人に持たせないルール設計
情報共有を「努力」ではなく
ルールにすることが重要です。
仕組みは営業を縛るものではなく助けるもの
仕組みは管理ではなく
営業を守るために存在します。
ツール導入は「人・組織」が整ってからでも遅くない
人と組織が整ってこそ
ツールは本来の力を発揮します。
経営者が最初に取り組むべき属人化対策とは
最初にやるべきことは一つです。
「属人化しているかもしれない」と認めることです。
現場を責めず、
構造を見直すことが経営者の役割です。
まとめ|属人化は「優秀な人材の問題」ではなく「会社の設計の問題」
属人化は、優秀な人材がいる証拠でもあります。
しかし放置すれば
必ず経営リスクに変わります。
営業力を個人から組織へ移すこと。
それが、ルート営業を持続的に成長させる唯一の道です。





