守破離についてはご存じの方も多いことでしょう。
諸説ありますが、千利休の和歌が起源と言われていて、茶道や武道、芸能における修行の過程を説明する際に守破離が用いられることが多くあります。
守:師匠や流派の教え、型を忠実に守って身につける段階
破:身につけた教えや型を自ら考え工夫し改善する段階
離:流派を離れ、独自の新しい世界を創造する段階
今日はこの守破離を、若手ビジネスパーソン自身の観点と、マネージャー目線の人材育成の観点に置き換えて考えてみます。
まずは守フェーズです。
人材成長、人材育成における守破離の守
守フェーズは会社(商品)とビジネスコミュニケーションの原理原則を学ぶ段階です。
原理原則といっても社会共通的なもの、勤めている会社のもの、この2つそれぞれを学ぶ必要があります。
営業を例に少し挙げてみると・・・
・初対面の挨拶を含めたビジネスマナー
・自社および取り扱い商品に対する一定以上の理解
・商品の説明の仕方
・営業フェーズなどセールスステップ毎のメールの書き方
などなどパッと思いつくだけでも結構あげられます。
若手営業パーソンとしてはこれらを先輩や上司に教わりに行き、まずは徹底的に真似して実践できるようにするというマインドが大切です。
一方でマネージャーとしては、先輩やベテランなど誰が教えても一定以上の水準かつ共通の内容で指導できるようにしなくてはなりません。
※「先輩AとBでは教えてくれる内容が違うんだけど・・・」と若手を迷わせてはいけません。
以上から
・教えてもらいやすい(≒若手が声を掛けやすい)環境を作ること
・指導レベルの標準化
守フェーズでは少なくともこの2点がポイントとなります。
人材成長、人材育成における守破離の破
破フェーズは守、つまり基本的な所作を修得した上で自身の特長や強みに合わせてスキルを進化させる段階です。
ポイントは守が出来ていることを前提に「若手や中堅のオリジナリティを会社(上司・ベテラン)が認めること」だと僕は考えます。
これまた営業を例に例えると・・・
・商品説明の切れ味(商品の魅力を100%伝える技術)だけで受注を増やすスタイル
・説明は少なめ、顧客の課題に耳を傾けて課題解決を伴走していくスタイル
など営業パーソン自身が自分の適性を見抜き、それに合わせて自身のスタイル、すなわち破を作っていきます。
この時に会社や上司が
「商品の魅力を誰でも100%で説明できること、それが何よりも大切だ!!!」
と押し付けてしまうと、破に到達する営業パーソンはなかなか出てきません。
(社内政治力と営業成果が高く大きい人しか破に到達できません)
マネージャーが自身の成功体験やスタイルを部下に押し付けず、強みや長所を伸ばしてあげるというマインドとスキルが求められるのが破フェーズです。
人材成長、人材育成における守破離の離
離フェーズは自身のビジネススキルを言語化することができ、さらには人に教えることができる段階です。
一般的に離レベルは独立してコンサルタントになったり、企業に属していても担当部長などスペシャリストとして活躍する人材です。
ただ僕は少し違う解釈をしていて、離レベルは
「自身のスキルや経験値を1つの方法や教えとして、幅広い破人材を育てられるビジネスパーソン」
だと定義しています。
選手としても一流で、引退後はダルビッシュ有選手や大谷選手、佐々木朗希選手を育てた千葉ロッテマリーンズ監督の吉井さんはまさに離人材の代表例だと思っています。
長々と書いてきましたが、要するに守破離とは「指導される側と指導する側の両方」が守破離を理解し、臨まなければいけないということです。
原理原則を実践できていないのにオレ流に取り組む若手
自分の経験則だけを押し付けるベテラン
こんな人達ばかりの組織が上手く回る・・・のでしょうか。
まずは自社の、自部門の、自チームの守を定義してみては如何でしょうか!?