部下の「できない」ことを「できる」ようにするコツ

セミナーを開催するから集客用のチラシ作っておいて

忘れもしません。
社会人になってから最初に直面した最も高かった出来ない壁の1つがこのチラシ作成です。

チラシなんか作ったことが無いから、そんなの僕には出来ないよ・・・

上司から指示された僕の正直な心情はこんな感じでした。
当時は今と違って画像検索しても情報量はゼロに近くて、Pinterestは無いし、Canvaも無い。
パクって作る手立てが少なく途方に暮れました

結果としてその時にチラシを作れるようになったことで、様々な出来ない壁を超えていけるようになりました。

ではどうやって作れるようになったのか、順を追って説明してまいります。

令和版 出来ないことを出来るようにする方法

まず集客に特化したチラシの知識が無かったので、毎朝会社に届くFAXDMを集めまくりました。
また似たようなビジネスをやっている会社に資料を請求しました。たいてい1枚ペラのチラシが入っていたので、こちらもたくさん集めました。

すると
「こういうフォーマット(体裁)のチラシだとセミナーに参加したくなるものなんだな」
という感触が分かってきました。

いわゆる『知らない』から『知る』にフェーズが変わった瞬間です。

次に実際にパワポを使って作ってみました。

作ってみたチラシを他社のチラシと比べると、フォントや色使い、キャッチコピーなどイマイチな点がよくわかりました。

『わかる』のフェーズに進んだのです。

更に試行を重ねて、出来上がったものを上司や同僚に見せてフィードバックをもらって、作り直す・・・を繰り返していくうちに完成しました。

『できる』になったのです。

その後、当時いた会社では「セミナーチラシなら大川」と任せてもらえるようになり、『得意になる(というか慣れている)』状態になっていました。

チラシ作成によって何より学べたことは『出来ない』ことは段階を踏めば『出来る』し、『慣れる』に成るということです。

出来るまでの工程

出来ない

やり方を知らない
↓知識を修得する
知る
↓実際にやってみる
(何がダメで出来ないのかが)わかる
↓繰り返しやってみる
できる
↓何度かやるようになる
慣れる

『出来ない』から『出来る』までの工程はこんな感じです。

ちなみに最近の僕は『出来ない』ことに直面した際には次の手順で『わかる(=やってみたけどできない)』までのフェーズへ進むようになっています。

出来ない

YouTubeで「◯◯ 作り方(使い方」と調べる ※◯◯は『出来ない』こと

知る

YouTubeを見ながらやってみる

わかる

たいていのことはこの手順でいけるはずです。

部下の「出来る」を増やすために必要なマネージャーの指導技法

あと、今日の話をマネージャー視点に置き換えると、「出来ないことが出来る体験を社員に積ませてあげること」がマネージャーの役割だと考えています。
よってマネージャーは部下がどのフェーズで躓いていて、『出来る』にならないのかを見抜く必要があります。

ティーチングやコーチング、そして時には自発的な気づきを持って出来るように仕向けていかなければいけません。

教え方=指導技法は各フェーズで異なります。

(1)知らない→知っている フェーズではティーチング

このフェーズでよく用いられる指導技法がティーチングです。

ティーチングとは、知識や情報といった正解を教えることです。

見積書の作り方を知らない・・・
会社に掛かってきた電話の出方がわからない・・・

これらはティーチングによってまずは『知っている』にしていかなければいけません。

ただし、ティーチングには注意が必要です。
あらゆる『知らない』をティーチングしてしまうと、部下や社員の考える習慣を奪ってしまいかねません

よって自社だけのオリジナルな知識や情報であればティーチング、独自性が高くない場合は自分で調べさせたり、学んでもらうと良いのだと僕は考えます。

(2)知っているけど出来ない→できる ではコーチングor傾聴

一定の経験や意識の改革が必要なのがこのフェーズです。

例として挙げるならば・・・

製造現場の熟練職人の技術を真似すること
営業における目標(売上予算)を達成すること

これらはたとえやり方を知っていても出来ないことの代表例でしょう。

このフェーズで大事なことは、どうやればできるようになるかを『考える』ことです。

部下や社員に考えさせることで成長を促す指導技法がコーチングです。
正解を伝えず、相手の視点を変えるようなクリエティブな質問を駆使して考えさせるのです。

コーチングは傾聴、承認、質問の3つで構成して、部下自身が目標達成やスキル修得のために何を実践(して経験を積む)すべきか、どのような意識で臨むべきかを考え改めさせる方法です。

上司が触媒となって、部下や社員自身に目標を達成するための答えにたどり着いてもらうイメージです。

傾聴とは

そして、もう1つ方法があります。
それが、ティーチングとコーチングの基礎でありながらコミュニケーションの最終到達点と言われるのが「傾聴」です。

傾聴では目標達成のためのスキル的な気づきではなく、部下自身が本来持っている能力や活力、魅力を出し惜しみせず発揮している状態になることを目指します。

例をあげると・・・
何ヶ月も月間営業目標を達成することが出来ていない営業パーソンAさんがいます。
Aさんは未達成の状況が続く現状を早く打破したいので、どうやれば商品を良く魅せることができるのかとか、お客さんに響く営業トークは何なのかを追求していました。

そんなAさんとマネージャーが話をしてみたところ、Aさんは「目標を達成することが自身の存在意義」という価値観に凝り固まっていたことに気づきます。

さらにマネージャーが傾聴を続けていくと、Aさん自身が数カ月間におよび目標未達成により、焦りや自身への怒り、そして周囲の目の恐れという感情を感じていて、本来のパフォーマンスを発揮できていないことに気づきます。

さらにさらに、その感情の根底に「社内の評価こそ絶対」という価値観をAさんが抱えていたことに上司との対話を通じてAさんは気づきます。

ここで、社内の評価=お客さんからの信頼獲得に味付けを変えてあげると、Aさんの行動が変わったのです・・・

はい、ある会社の営業部門で実際にあった話をデフォルメした例でした。

例の通り・・・
具体的なエピソード:たくさん売れるようにお客さんに響く営業トークを追求する

感情:社内の自分を見る目から生じる恐れ

価値観:社内評価こそ絶対

傾聴とはエピソードを切り取って、感情に切り込み、価値観に共感して本人に人格的な気づきを求める指導技法です。

この傾聴という指導技法については、ビジネスコミュニケーション論で有名な小倉広さんの「すごい傾聴」という本がとてもわかりやすくてオススメです。

すごい傾聴
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またYouTubeでこちらの本について解説してみましたので、ご興味ある方は是非ご覧ください!

部下の『できる』を増やす方法は数多あります。
部下にとって、そして自分(マネージャー)にとっても適した指導法を見つけることが、マネージャーの役目ですね。
マネージャーって大変ですね・・・・。

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